見えてきた「住まない所有者」の街
東京の高層マンションを夜に見上げると、驚くほど灯りのついていない部屋があることに気づきます。誰かが買っているのに、誰も住んでいない。いわゆる「住まない所有者」が、いま都市のあちこちで増え続けています。
その多くは、海外の富裕層や投資家によって取得された物件です。日本の不動産は、安全で、安定していて、円安の今は“割安”に見える。こうした理由から、実際に暮らすつもりのない人たちが、都心のマンションを買い集めています。
不動産が「住む場所」ではなく「保有するもの」「資産の一部」として扱われる時代に入った今、街の姿は確実に変わりつつあります。そして、その変化を国はどう見ているのか――本当に問題視しているのか。ここに、行政と市民の意識のズレが生まれています。
本音では「経済効果」を手放したくない国
表向き、国もこの問題を「把握していないわけではありません」。国土交通省は2025年から外国人による不動産取得の実態調査に乗り出し、「今後の制度見直しに向けた材料を集める」と発表しています。
しかし、その動きはあくまで“静かな観察”にとどまっており、強い規制や届出制度の義務化には踏み込んでいません。なぜか。それは、不動産市場に流れ込む海外マネーが、日本の経済にとって少なからず“ありがたい存在”だからです。
建設業、不動産業、金融業、そして自治体の税収――こうした経済の一部を、外国人投資家が支えているという構図があります。都心のマンションが高値で売れ続ければ、関連する産業も潤い、固定資産税も増える。景気を下支えしている面を、国は手放したくないのです。
だからこそ、「住んでいない部屋が増えている」「地域コミュニティが崩れている」という声があっても、積極的に介入しようとはしません。今のところは。
地方自治体の現場では“ひずみ”が広がっている
一方で、そうした投資マネーが及ぼす影響は、確実に現場に表れています。都心のマンション管理組合では、所有者が海外にいて連絡が取れない、修繕費の支払いが滞っている、理事会に誰も参加しない――こうした問題が続出しています。
さらに、空き家化した部屋は犯罪リスクや災害時の安全性にも影響を及ぼします。管理されていない部屋が増えれば、マンション全体の資産価値も落ちてしまいます。
地域社会にとっては、“誰かが買っただけで使っていない家”が一番やっかいです。誰の責任で維持するのかが曖昧になり、街の活力が静かに失われていくのです。
こうした現場の苦労に対して、今のところ国は「直接的な手立てを持っていない」という立場をとっています。しかし本当は、手を出さない理由が「経済を冷やしたくないから」だということを、市民は少しずつ感じ始めています。
国は“分かっている”。でもまだ動かない
国がこの問題を「知らない」わけではありません。問題として認識しつつも、「まだ動かない」という選択をしている、というのが実態です。
これは、1980年代のバブル崩壊前にも見られた現象です。価格は上がっている、市場は活況、だから手を出さない――しかしその裏で、市民の生活は静かに崩れていったのです。
今、求められているのは「いきなり規制をかけること」ではありません。
まずは、誰がどこに住んでいるのか、どの物件が長期間使われていないのか、そういった基礎的なデータを国が本気で集めること。そして、地方自治体が動きやすいよう、情報の透明化と仕組みづくりを進めることです。
「経済を守るために、街を壊してはいけない」
この当たり前の視点を、政策の軸に据える時期に来ています。
不動産は“住むため”のものであるという原点を、いま一度取り戻す必要があるのではないでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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