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【2026年問題】留学生「28時間労働」の形骸化が終わる日

【2026年問題】留学生「28時間労働」の形骸化が終わる日。入管×社保×マイナンバー連携で何が起きるのか?

「留学生のアルバイトは週28時間まで」。
このルール自体は、外国人雇用に関わる人なら誰もが知っている常識です。しかし、現場では長らく「公然の秘密」が囁かれてきました。

「掛け持ちすればバレない」
「現金手渡しなら大丈夫」
「入管はそこまで見ていない」

しかし、これらは今、過去の話になろうとしています。
2024年から2025年にかけて、政府は入管法および関連制度の運用を劇的に変化させました。その中心にあるのが、「デジタル庁主導のデータ連携」「社会保険適用拡大」です。

これまで「把握しきれない」ことで形骸化していた28時間ルールが、なぜ今、急速に包囲網を狭めているのか。社保システムとマイナンバーがどのように「監視の目」となるのか。企業と留学生に迫るリスクと対策を、4つの視点から徹底解説します。


目次

1. なぜ「28時間ルール」は形骸化していたのか?アナログ管理の限界と実態

まず、なぜこれまで「28時間オーバー」が横行していたのか、その構造的な欠陥を理解する必要があります。ここを理解していないと、新しいシステムがどれほど強烈なインパクトを持つかが見えてきません。

入管庁の「視界不良」

これまでの入国管理局(現・出入国在留管理庁)は、基本的に「アナログ」な組織でした。在留期間の更新時に留学生が提出するのは、アルバイト先が発行する「課税証明書」や「源泉徴収票」です。
しかし、ここには大きなタイムラグがあります。例えば、2025年の更新時に提出するのは2024年のデータです。「今、働きすぎているか」をリアルタイムで知る術を入管は持っていませんでした。

「掛け持ち(ダブルワーク)」という抜け穴

最大の抜け穴は「掛け持ち」です。
例えば、A社で週20時間、B社で週20時間働いたとします。合計40時間で完全に違法ですが、A社もB社も「自社では20時間しか働かせていない(適法だ)」と認識しています。
入管がこれを見抜くには、本人が正直に申告するか、税務署からの情報と突き合わせる必要がありますが、省庁の壁(縦割り行政)があり、個別の詳細な照合には膨大な手間がかかりました。

現場の「なあなあ」な空気

人手不足に悩むコンビニ、飲食、物流業界にとって、留学生は貴重な戦力です。「本人が大丈夫と言っているから」「他でも働いているとは聞いていないことにしよう」という、いわば「見て見ぬふり」が現場レベルで常態化していました。
この「アナログ管理の限界」と「人手不足の圧力」が、法の趣旨を骨抜きにし、28時間ルールの形骸化を招いていたのです。

2. 「入管×社保×マイナンバー」の衝撃。逃げ場を塞ぐデータ連携の仕組み

しかし、政府はこの状況を放置しませんでした。デジタル庁の発足以降、加速しているのが「行政機関同士のデータ連携」です。ご質問にあった「社保のシステムも利用できるようになる」というのは、まさにこの核心部分です。

マイナンバーによる「名寄せ」の自動化

最強のツールが「マイナンバー」です。
これまでは、氏名や生年月日で個人を特定していましたが、留学生の場合、名前の表記揺れ(アルファベット、カタカナ)などで同一人物の特定が難しいケースがありました。
しかし、マイナンバー制度の浸透により、就労先から提出される「給与支払報告書」や「雇用保険・社会保険の加入データ」は、すべてマイナンバーで紐付けられます。
これにより、A社とB社の給与データが、国税庁や年金機構のサーバー上で自動的に「合算(名寄せ)」されます。「誰が」「どこで」「合計いくら稼いでいるか」が、ガラス張りにされるインフラが整いつつあるのです。

社会保険システムの「探知機」化

ここで重要になるのが、2022年、2024年と段階的に進められている「社会保険の適用拡大」です。
従業員数が51人以上の企業では、週20時間以上働く場合、学生を除き社会保険への加入が必要ですが、留学生の場合は少し複雑です(※昼間学生は雇用保険のみの場合が多いですが、通信制や特定の条件では社保対象にもなり得ます。また、雇用保険データも同様に重要です)。

特に決定的なのが「雇用保険」のデータです。
週20時間以上働く場合、原則として雇用保険への加入義務が生じます。
もし、留学生が「A社で雇用保険加入(週20時間)」、「B社でも雇用保険加入(週20時間)」となれば、データ上で即座に「二重加入=週40時間労働」のアラートが鳴ります。
これまで入管はこのデータを直接覗くことはしませんでしたが、省庁間の連携強化により、在留資格更新時の審査でこのデータを参照する権限が強化されようとしています。

「許可制」の厳格化プロセス

さらに2025年末の報道によれば、政府はこれまで「原則一律」で出していた資格外活動許可を、「個別審査」へ切り替える方針を打ち出しています。
つまり、マイナンバーや納税実績から「怪しい」とフラグが立った学生には、そもそもアルバイトの許可を出さない、あるいは更新を拒否するシステムへと移行しているのです。

3. 「知らなかった」では済まされない。企業と留学生を襲うペナルティとリスク

このシステム統合が完了したとき、何が起こるのでしょうか。「たかがアルバイトの数時間オーバー」と軽く考えていると、取り返しのつかない事態に陥ります。

留学生本人への影響:強制送還のリアル

最も大きなダメージを受けるのは留学生本人です。
入管法において、資格外活動違反は非常に重い罪です。

  • 在留期間更新の不許可: 学校に通い続けたくても、ビザが下りず帰国を余儀なくされます。
  • 退去強制(強制送還): 悪質な場合(風俗店勤務や大幅な超過など)、即座に国外退去となり、その後5年間は日本に入国できなくなります。

これまで「先輩もやっているから大丈夫」と思ってやっていたことが、ある日突然、日本での未来を閉ざす原因になるのです。

企業への影響:不法就労助長罪

企業側も無傷ではいられません。「不法就労助長罪」のリスクが跳ね上がります。

  • 3年以下の懲役または300万円以下の罰金: これは経営者や人事担当者個人にも及ぶ可能性があります。
  • 企業名の公表: 入管庁によって不法就労をさせていた企業として公表されれば、ブランドイメージは失墜します。
  • 外国人技能実習生などの受入停止: 以後5年間、新たな外国人を雇用できなくなる可能性があります。

「通算」の罠

特に怖いのが「通算」です。
自社では週15時間しか雇っていなくても、他社で15時間働いていれば、合計30時間で違反となります。
これまでは「本人の申告」を信じるしかありませんでしたが、データ連携が進むと、「なぜ企業側はマイナンバー提出時に他社の源泉徴収状況を確認しなかったのか(気付く余地はあったのではないか)」という、より高度な管理責任を問われる社会的な空気が醸成されていくでしょう。

4. データ監視時代を生き抜くために。今、企業と管理者がとるべき対策

では、この「形骸化終了」の時代において、企業や雇用主は具体的にどう動くべきなのでしょうか。精神論ではない、実務的な対策が必要です。

① 「ダブルワーク」の申告を徹底・書面化する

採用面接時および契約更新時に、必ず「他でアルバイトをしているか」を確認し、記録に残してください。
口頭確認だけでなく、「他のアルバイト先を含む総労働時間が週28時間を超えないことを誓約する」という旨の誓約書を一筆取っておくことが重要です。これは、万が一違反が発覚した際に、企業側が「指導・管理を行っていた」という証拠(善意無過失の証明)の一つになります。

② マイナンバー・雇用保険データの活用

採用時、マイナンバーの提出を求める際に、前職の源泉徴収票の提出も合わせて依頼するフローを検討してください(もちろん個人情報保護に配慮した上で)。
また、雇用保険の手続きをする際、「二重加入」のエラーが出ないか注視してください。もし他社で加入中であれば、その時点で週20時間以上働いている可能性が高いです。

③ 「週28時間」ギリギリを攻めないシフト管理

週28時間は上限です。残業や引き継ぎで数分オーバーしただけでも、厳密には違反です。
システム管理されるようになれば、1分のオーバーも記録に残ります。
自社のシフトは「週20時間〜24時間程度」に抑え、不測の事態でも28時間を超えない安全圏(バッファ)を設ける運用が賢明です。

④ 「長期休業期間」の定義を正しく理解する

留学生は、学則で定められた夏休みや冬休みの期間中は「1日8時間・週40時間」まで働くことができます。
しかし、これには「学校の発行する証明書」や「学則カレンダー」が必要です。
「授業がない日=長期休業」ではありません。ここを勘違いして働かせすぎ、システム上で検知されるケースが多発しています。学校のカレンダーを必ずコピーしてもらい、保管してください。


まとめ:正直者が損をしない社会へ

「社保のシステムも利用できるようになる」という噂は、本当です。
むしろ、私たちの想像以上のスピードで、国は「ガラス張りの労務管理」へと舵を切っています。

これを「厳しすぎる」と嘆くか、「コンプライアンスを守る企業が正当に評価される時代になった」と捉えるか。
28時間労働の形骸化是正は、真面目にルールを守る留学生と、法令遵守を徹底するホワイト企業を守るための施策でもあります。

「バレないからやる」という時代は終わりました。
今すぐ自社の外国人雇用状況を総点検し、来るべき「完全データ連携時代」に備えましょう。

※本記事の内容は執筆時点(2026年1月)の情報に基づいています。法改正やシステムの運用開始時期は変更される可能性があるため、最新情報は出入国在留管理庁や厚生労働省の発表をご確認ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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