2025年10月16日の法改正から1年余り。2026年現在の経営管理ビザ申請は、かつての「500万円の資本金」という甘い基準が完全に過去のものとなり、日本でビジネスを志す外国人にとって史上最も過酷な時代に突入しました。多くの申請者が、形式的な要件をクリアしているつもりで「不許可」の通知を受け、数千万円の投資を失うという深刻な事態に直面しています。
なぜ、これほどまでに審査は厳格化されたのか。3,000万円という巨額の資金を投じながら、なぜ許可が降りないケースが続出しているのか。本記事では、フジ行政書士事務所が実務の最前線で目撃している「審査の裏側」と、5,000字に及ぶ徹底解説で、あなたが日本で生き残るための道標を示します。
経営管理ビザのパラダイムシフト|「投資」から「経営能力」の審査へ
これまでの経営管理ビザは、極論を言えば「500万円を準備できれば取得できるビザ」と揶揄されることもありました。しかし、2026年現在の審査基準は、申請者の「資金力」だけでなく、その「経営者としての資質」と「事業の持続可能性」を極めて高いレベルで求めています。
この改正の背景には、日本政府が掲げる「スタートアップ支援」と、その裏側にある「不適切な在留資格取得の徹底排除」という二面性があります。もはや「ビザを取るための事業」は通用しません。「日本経済を牽引する事業」であることの証明が不可欠なのです。
3,000万円の資本金要件|問われるのは「金額」ではなく「透明性」
新基準の象徴である「資本金3,000万円以上」。この数字だけを見て資金をかき集めるのは非常に危険です。入管当局が最も注視しているのは、その資金の「色」です。
資金形成過程の徹底的な疎明
3,000万円という金額は、一般的な個人の貯蓄としては高額です。そのため、当局は「どのようにしてその資産を築いたのか」を過去数年分、場合によっては10年以上に遡って調査します。
- 母国での給与所得: 職歴と納税証明書との整合性。
- 資産売却益: 不動産や株式の売却ルートが適正か。
- 親族からの贈与: 贈与者の資金源まで遡った立証。
「通帳に3,000万円あるから大丈夫」という考えは、2026年現在では通用しません。送金経路の一切に不明瞭な点があれば、マネーロンダリングへの関与を疑われ、即座に不許可となります。
「見せ金」に対する厳罰化
一時的に知人から借り入れ、ビザ取得後に返済する「見せ金」の手法は、現在の高度なAI審査や金融機関との連携強化により、高い確率で見破られます。不許可になるだけでなく、悪質なケースでは将来にわたる日本への入国拒否や、虚偽申請による罰則の対象となるリスクがあります。
専門家による事業計画書の「確認義務」が持つ真の意味
2025年改正の目玉の一つが、中小企業診断士、税理士、行政書士等による事業計画書の「実現可能性評価」の必須化です。これは、申請者が作成した「希望的観測に基づいた作文」を排除するためのフィルターです。
なぜ専門家のチェックが厳しいのか
この制度により、事業計画書の評価を行う専門家側にも重い責任が課せられるようになりました。実態のない、あるいは実現性の低い計画書に対して「妥当である」という評価を与えた場合、その専門家自身の信用や資格、あるいは当局からの信頼を失うリスクがあるからです。 そのため、2026年現在、専門家が首を縦に振る計画書を作成すること自体が、第一の大きなハードルとなっています。
評価される事業計画の3要素
- 市場の客観的分析: 競合他社の動向、ターゲット層の厚さ、参入障壁の有無を統計データで示しているか。
- 収益の論理性: 3,000万円の投資に対し、いつ損益分岐点を迎え、どのように利益を再投資していくか。
- 独自性と優位性: 日本の既存企業ではなく、なぜ「外国人経営者であるあなた」がその事業を行う必要があるのか。
常勤職員1名以上の雇用義務|「質」が問われる人件費
資本金3,000万円に加え、「1名以上の常勤職員の雇用」が義務付けられました。これは、日本国内での雇用創出をビザ継続の絶対条件とするという国の方針です。しかし、単に名前を貸してくれる人を雇うだけでは不十分です。
雇用対象の厳格な制限
対象となるのは日本人、永住者、定住者、日本人の配偶者等に限られます。就労ビザ(技人国など)を持つ外国人を雇っても、この「1名」にはカウントされません。人手不足が加速する2026年において、月額25万円以上の適正な給与を支払い、社会保険に加入させた上で、日本人等を継続して雇用し続けることは、経営上の大きな固定費負担となります。
実態調査(抜き打ち検査)の激増
近年、入管当局による事業所の実態調査が急増しています。雇用しているはずの職員が事務所にいない、あるいは名簿上の職員が業務内容を把握していないといった事態が発覚した場合、その場でビザ取り消しの手続きが開始されることさえあります。雇用は「形」ではなく「実態」がすべてです。
日本語能力要件(B2/N2相当)がもたらす経営の透明化
日本語能力試験(JLPT)N2以上の合格、または同等の能力証明が求められるようになった背景には、外国人経営者が日本の法律や商慣習を理解せず、トラブルを引き起こすケースが多発したことがあります。
「通訳頼み」の経営の限界
2026年の審査では、経営者本人が直接取引先と交渉し、行政手続を理解できる能力があるかが問われます。日本語ができない経営者が3,000万円を投じる場合、「どのようにして日本で法令を遵守し、従業員を管理するのか」という運営体制の構築が、語学力そのもの以上に厳しくチェックされます。語学力が不足している場合は、それを補完する強力な管理体制(例:N1レベルの幹部職員の配置など)の構築が許可の条件となります。
事務所(オフィス)確保の「聖域」と2026年のトレンド
事務所要件は、経営管理ビザの中で最も「形式」が重視される項目です。リモートワークが当たり前になった2026年でも、入管はこの点において一切の妥協を許しません。
「独立性」の定義がより厳格に
- 居住スペースとの完全分離: 自宅の一室を事務所にすることは、構造上明確に分離されており、専用の入り口がない限り、ほぼ100%不許可となります。
- 物理的な設備: デスク、PC、電話、キャビネット、看板、ポスト。これらが整い、即座に業務を開始できる状態であることが写真や現地調査で確認されます。
- 賃貸借契約の目的: 契約書に「事業用(事務所用)」と明記され、法人名義で締結されていることが必須です。
近年増えているシェアオフィスについては、個室であり、かつ他社の人間が自由に出入りできない構造であることが最低条件です。オープンな共用スペースでの申請は、2026年現在はまず通りません。
不許可になる人の共通点|2026年の審査で落ちるパターン
数多くの相談を受けてきた中で、不許可になるケースには明確なパターンがあります。
1. 過去の経歴と新事業の「ミスマッチ」
例えば、母国で10年間ITエンジニアをしていた人が、突然日本で「ラーメン店」を経営しようとする場合、3,000万円あっても不許可リスクが高まります。経営者としての能力(管理・戦略)だけでなく、その分野への深い知見や経験、あるいはそれを補完するパートナーの存在が立証できなければ、「事業の継続性がない」と判断されます。
2. 事業計画の「コピペ」と「甘い見通し」
コンサルティング会社などが作成した雛形を流用した計画書は、審査官に見抜かれます。特に、2026年は物価高騰や人件費上昇が続いており、数年前のコスト感覚で作成された計画書は、それだけで「実効性なし」とみなされます。
3. 納税義務とコンプライアンスの軽視
更新の際に最も多い不許可理由は、税金や社会保険の滞納です。たとえ売上が数億円あっても、個人の住民税や健康保険料の支払いに遅延があれば、在留期間の更新は絶望的となります。経営管理ビザは、日本社会のルールを守る者だけに与えられる特権であることを忘れてはなりません。
更新時の「3,000万円基準」への段階的移行戦略
既にビザを持っている方にとって、改正後の更新は大きな不安要素でしょう。2025年10月以降、最大3年間の経過措置がありますが、これは「何もしなくて良い期間」ではありません。
更新のたびに、「3,000万円への増資に向けた進捗」や「雇用のための利益確保」が着実に行われているか、その努力の跡を書類で示す必要があります。「準備が間に合いませんでした」という言い訳は通用しません。更新が迫ってから慌てるのではなく、今すぐ1年単位の増資・雇用ロードマップを作成する必要があります。
結論:2026年、経営管理ビザは「経営のプロ」への登竜門
3,000万円という基準は、一見すると外国人排除のようにも見えます。しかし、本質は異なります。日本政府は、多額の資金を投じ、雇用を生み出し、適正な日本語能力を持って日本社会に貢献しようとする「本物のパートナー」を求めているのです。
この厳しい時代に経営管理ビザを取得し、維持し続けることは、それ自体があなたのビジネスの「信頼の証」となります。しかし、その道筋は非常に複雑で、たった一つの書類の不備、たった一回の説明の矛盾が、すべてを台無しにします。
フジ行政書士事務所では、改正法の条文のみならず、2026年現在の入管の審査傾向、実地の運用状況を精査し、あなたの状況に合わせた「勝てるシナリオ」を構築します。
- 3,000万円の資金形成を、どう公的に証明するか。
- 専門家の厳しいチェックをクリアする、強固な事業計画をどう作るか。
- 不測の実地調査に備えた、強固な事務所・雇用体制をどう築くか。
あなたの日本でのビジネスが、ビザの不安に阻まれることなく、大きな成功を収めるために。私たちは、法的専門知識と実務経験という最強の武器を持って、あなたの挑戦に伴走いたします。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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