世界の安全な国はどこ？
「日本は世界一安全な国」と言われることが多いですが、本当にそうでしょうか。たしかに日本では、夜に一人で歩いても危険を感じにくく、財布を落としても戻ってくることがあるなど、日常生活の中に“安心”が根づいています。しかし実際には、世界にも同じように安全な国がたくさんあります。
犯罪率の低さや市民のモラル、社会の仕組みなど、国ごとに安全の形は異なります。北欧のように福祉と教育によって安全を守る国もあれば、シンガポールのように法律と秩序によって治安を維持する国もあります。つまり「安全な国」とは、日本だけの話ではなく、世界中にさまざまな形で存在しているのです。
ここでは、治安の良さで知られる国々を紹介しながら、それぞれの国がどのようにして“安全”を実現しているのかを見ていきます。
北欧諸国に見る「信頼が生む安全」
アイスランド、ノルウェー、フィンランド、デンマーク――北欧の国々は、世界平和度指数（Global Peace Index）で毎年上位を占めています。殺人や暴力事件の発生率は極めて低く、警察官が銃を携帯しない国もあります。
北欧が安全でいられる理由は、「人と人との信頼」が社会の基盤にあるからです。教育や福祉が行き届き、貧困や格差が少ない社会では、犯罪を起こす理由そのものが少なくなります。つまり、治安の良さは取り締まりではなく、支え合いによって保たれているのです。
また、北欧では法律に頼らず、社会的な良識が強く働きます。公共の場では静かに過ごし、他人のプライバシーを尊重する。このような文化的成熟が、警察の数や監視カメラに頼らない“信頼による安全”を生み出しています。
法と技術で秩序を保つアジアの国々
アジアにも安全な国は多くあります。中でも代表的なのが、シンガポールと韓国です。
シンガポールは厳しい法制度で知られ、街の清潔さと秩序が保たれています。ポイ捨てや落書きにも高額な罰金が科され、薬物犯罪には極刑が定められるなど、厳格なルールが社会全体の抑止力となっています。その結果、夜間でも安心して出歩ける環境が維持されているのです。
韓国では、防犯カメラ（CCTV）の普及率が非常に高く、都市全体の監視システムが治安維持に大きく貢献しています。ソウルや釜山などの大都市でも夜間に出歩く人が多く、女性が一人で歩いても危険を感じにくい社会が形成されています。こうした“都市型の安全”は、テクノロジーと市民意識の高さが組み合わさって生まれています。
両国とも「安全を守るための社会的合意」がしっかり存在し、罰則や監視が単なる抑制ではなく、人々の安心を支える仕組みとして受け入れられている点が特徴です。
多様性と信頼がつくる「安心して暮らせる社会」
北欧やアジア以外にも、安全な国はたくさんあります。ニュージーランドやカナダはその代表です。自然災害を除けば暴力犯罪は非常に少なく、人種や文化の多様性を尊重する社会が築かれています。特にカナダでは、移民や少数派に対する包容力が高く、異なる人々が共存することが「安全」を支える土台になっています。
つまり、治安の良さは「犯罪がない社会」を意味するだけでなく、「違いを受け入れ、互いを信頼できる社会」を指しています。北欧は福祉で安全を、シンガポールは法で安全を、韓国は技術で安全を、カナダは多様性で安全を守っているのです。
日本もまた、公共意識と相互信頼の高さによって治安を保っています。しかし、世界の安全な国々に目を向けることで、安全のあり方にはさまざまな形があることに気づかされます。「安全」は国ごとの文化の鏡であり、そこに生きる人々の価値観が表れた結果なのです。
日本だけが安全な国ではありません。世界には、法・福祉・技術・多様性といった異なるアプローチで「安心して生きられる社会」を築いている国々が数多くあります。その事実を知ることが、私たち自身の社会をより良くするヒントになるのかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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