外国人が増える日本社会と、共生への分かれ道
海外の報道によりますと、日本ではここ数年、外国にルーツを持つ人々の数がかつてないほど増えているそうです。2025年の時点で在留外国人の数は過去最高を更新し、生まれてくる子どものうち、外国籍の親を持つ割合も年々上昇していると伝えられています。
しかし、その変化を歓迎する声ばかりではありません。外国人に対する偏見や不安、そして排除的な空気も確かに存在しています。社会が大きく変化している今、私たちはどのように共に生きる社会をつくっていくべきなのでしょうか。
外国人が「特別な存在」でなくなる時代へ
かつて日本では、外国人は「一時的に滞在する人」という認識が一般的でした。ところが今では、永住者や定住者、特定技能の在留資格などを取得して、長く日本で生活する人々が増えています。東京や大阪のような都市部だけでなく、地方のまちでも外国人住民が日常的に暮らしており、学校や職場、地域のイベントなど、あらゆる場で自然な交流が生まれるようになりました。
それでも、制度や意識の面では、まだ外国人が「仮の住人」として扱われる場面が少なくありません。たとえば、部屋を借りる際に断られてしまったり、学校で子どもが言葉の壁に苦労したり、役所の窓口に通訳がいなかったりといった問題があります。海外の報道では、日本は外国人の労働力を求めながらも、社会の一員として受け入れる体制が十分に整っていないと指摘されています。
行政手続きや在留資格の更新など、制度的な支援が整っていなければ、せっかく日本で生活を築こうとする人たちが不安定な立場に置かれてしまいます。単なる「受け入れ」から「ともに暮らす」へと進むためには、社会全体の意識と仕組みの両方を変えていくことが欠かせません。
広がる多文化共生の現場と現実
近年、「多文化共生」という言葉を耳にする機会が増えました。自治体によっては、外国人相談窓口を設けたり、行政手続きの多言語化を進めたりと、具体的な取り組みが進んでいます。しかし、その取り組みの内容や水準には地域差があり、制度が十分に整っていない地域では、外国人住民が孤立しやすい現実もあります。
外国人が関わる行政手続きは、内容が非常に複雑です。婚姻届や出生届、永住許可、在留資格の変更など、手続きごとに必要な書類や条件が異なります。日本語が堪能な方でも、法制度の違いや書類の細かい形式に戸惑うことが多いものです。そうしたときに力を発揮するのが、行政書士のように外国人と行政の間をつなぐ専門家です。
行政書士は、ビザや在留資格の手続きを支援するだけでなく、生活上の不安や家族の問題について相談を受けることもあります。書類を整えるだけでなく、制度の意味や背景を丁寧に説明することで、安心して日本で暮らせるようにサポートすることができます。こうした一つ一つの支援が、外国人が地域の一員として根づいていくための大切な土台になります。
見えない壁とどう向き合うか
海外では、日本社会の変化を評価しながらも、「外国人への不安や排除の動きが見られる」との指摘もあります。SNS上の偏見、学校や職場での誤解、地域活動からの排除――そうした小さな出来事が積み重なることで、外国人の方が“居場所のなさ”を感じてしまうケースも少なくありません。
こうした背景には、経済的な不安や人口減少への焦りがあります。人手不足が深刻化する中で、「外国人が仕事を奪う」「文化が変わる」といった誤ったイメージが広がることもあります。また、外国人に関する報道が事件やトラブルなど、否定的な内容に偏りやすいことも、無意識の偏見を生む一因です。
日本は長く「単一民族国家」として語られてきましたが、現実にはさまざまな文化や価値観を持つ人々が暮らしています。この多様性を受け入れ、互いを理解しようとする姿勢を社会全体で育てていくことが、今まさに求められています。偏見や排除の動きは、社会の成熟度を試すものでもあります。
共に生きるための小さな一歩を
外国人を「支援する側」と「支援される側」とに分けて考えてしまうと、真の共生は生まれません。地域の清掃活動に一緒に参加する、学校の行事で交流する、外国人が経営するお店を訪ねる――そうした日常の中の関わりが、何よりも強い絆をつくります。
行政書士としての役割も、単なる手続き代行にとどまりません。在留資格や契約の相談を受けた際に、生活上の悩みや家族の不安に耳を傾けることがあります。その一つ一つを丁寧に受け止めることが、安心して暮らせる社会を支える第一歩だと感じます。
海外からの報道は、ときに日本社会を客観的に映し出す鏡のようなものです。そこに示される課題を「批判」としてではなく、「気づき」として受け止めることができれば、社会はより良い方向へ変わっていくはずです。外国人が増えるということは、日本が閉じた社会から開かれた社会へと進んでいる証でもあります。その変化を恐れず、共に暮らし、支え合う姿勢をどう築くか――それこそが、これからの日本社会と行政に問われているテーマだと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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