在留外国人が過去最多を更新――日本の「3%」を支える存在に
2024年末時点で日本に中長期で滞在している在留外国人の総数は、過去最多となる約377万人に達しました。これは日本の総人口の約3%に相当し、年々その存在感が高まってきています。出入国在留管理庁の統計によれば、2023年末から約10%増加しており、特に「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「留学」などの在留資格で来日する人が目立っています。
在留外国人とは、留学や技能実習、仕事などの目的で中長期にわたって日本に滞在する外国人を指します。観光や短期滞在は含まれず、働く・学ぶ・生活することを目的とする人々です。とりわけ日本政府は、少子高齢化による労働力不足に対応するため、外国人材の受け入れを制度面・実務面から積極的に推進しており、統計上にもその方針の成果が如実に現れています。
377万人という数は単なる数字ではなく、日本の社会・経済・地域コミュニティに大きな影響を与えていることを示す象徴的な指標です。特に都市部だけでなく、地方の中小企業や福祉施設、農業・漁業分野などでも在留外国人の存在が欠かせないものになっています。
若年層が過半数――20代・30代が日本を支えている
年齢別の統計で最も注目すべき点は、在留外国人のうち20代と30代が合計で約55.9%を占めていることです。つまり、過半数が働き盛りの若年層であるということです。この構成は、日本社会にとって大きな希望でもあります。
日本人の人口構成では高齢化が深刻な問題として取り上げられていますが、外国人労働者の年齢層は逆に若く、活力にあふれた層が中心です。特にベトナム、ネパール、フィリピンといったアジア各国から来日している人たちは、介護、製造、建設、外食、ITといった多様な業界で活躍しており、即戦力としての期待が高まっています。
また、若年層の外国人が地域社会に定着することで、地域経済の活性化や少子化対策にもつながる可能性があります。例えば、子育て世代の定住者が増えることで学校の存続が可能になったり、地域での消費や雇用が増えるなどの波及効果も報告されています。
このように、在留外国人の若年層が単なる労働力としてだけでなく、地域や社会の未来を支える担い手としての役割を果たし始めているのです。
在留資格別に見る構造――永住者・技人国・特定技能が主要層
在留外国人を構成する資格には多様な種類がありますが、そのなかでも「永住者」が最多で、2024年末時点で約92万人を占め、全体の24%にあたります。永住者は就労・滞在期間に制限がないため、日本に深く根付いて暮らしている層といえます。
次に多いのが「技術・人文知識・国際業務」(いわゆる技人国)で、企業に就職して専門的な業務に従事する人が対象です。この層は約39万人とされており、IT、経理、通訳、マーケティングなど多様な分野で働いています。企業側にとっても、国際人材を確保することが競争力の強化に直結している現状では、技人国ビザの取得支援に力を入れている企業が増えています。
さらに注目すべきは、「特定技能」で在留している外国人の増加です。2019年から新設されたこの資格は、人手不足が深刻な14業種に限って専門的スキルを持つ外国人の受け入れを可能にするもので、すでに28万人(全体の約8%)に達しています。特定技能は試験によるスキル評価が前提で、労働者の質を担保する仕組みになっており、実務現場での即戦力として期待されています。
このように、在留外国人の構造はますます多層化・専門化しており、単なる数の増加だけでなく、質の高い人材の受け入れが進んでいる点も見逃せません。
外国人との共生社会に向けて――今後の課題と展望
在留外国人が増えること自体は歓迎されるべき傾向ですが、それに伴って「共に生きる社会」をどう実現するかが問われています。言語・文化・制度の壁により、外国人が生活上の困難を感じる場面は少なくありません。例えば、役所での手続き、医療機関の利用、子どもの教育、住宅の確保など、多くの場面で「情報不足」や「理解のズレ」が問題となっています。
また、企業や地域社会にも、単なる受け入れではなく「共に働き・暮らす」姿勢が求められています。外国人社員に対するキャリア支援や、日本語教育、相談体制の整備などが今後の鍵を握ります。
国としても、「共生社会の実現に向けたロードマップ」や「外国人との協働プラン」などを通じて、支援策の拡充を図っていますが、実際の現場ではまだまだ課題が山積しています。制度と現実の間にあるギャップを埋める取り組みが、今後の日本社会において重要となるでしょう。
在留外国人が日本の未来にとって欠かせない存在となった今、単なる労働力ではなく、一人の生活者として尊重し合う社会の構築が求められています。そのためには行政、企業、地域、そして私たち一人ひとりの意識と行動が問われています。
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