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外国人と犯罪報道の落とし穴――数字で見る先入観の正体

犯罪報道が与える印象の強さ

テレビや新聞、そしてインターネットのニュースで、外国人が関わる事件が報じられると、その情報は瞬く間に拡散されます。特に凶悪犯罪の場合、報道時間や記事スペースは大きく割かれ、視聴者や読者の記憶に強く残ります。その結果、「外国人による犯罪は多い」という印象が形成されやすくなります。

しかし、ここで注意しなければならないのは、報道されるのはあくまで目立つ事件であり、日常のほとんどの外国人が関わらない生活の現実はニュースにはならないということです。人は強い印象を与える出来事を過大評価しやすい心理傾向があり、これを心理学では「利用可能性ヒューリスティック」と呼びます。事件が目に入るたびに、それが全体の傾向だと錯覚してしまうのです。

このため、外国人に関する報道は、事実の一部であるにもかかわらず、社会全体のイメージを大きく左右してしまいます。これは外国人政策や地域の受け入れ姿勢にも影響を与え、先入観に基づいた偏見や誤解を生み出す原因になり得ます。

数字で見る現実との乖離

統計データを冷静に見ると、外国人の増加と犯罪の増加は必ずしも比例していません。過去十数年間で在留外国人は大きく増えていますが、外国人による犯罪件数は横ばいか、むしろ減少傾向を示す年もあります。つまり、「外国人が増える=治安が悪化する」という単純な図式は、数字の上では成立していないのです。

また、犯罪の内容に目を向けると、外国人によるものの多くは窃盗や在留資格に関する違反といった比較的軽微なものが占めています。凶悪犯罪は割合としてはごくわずかです。もちろん、軽微であっても法的には重大な違反であり、放置してよいものではありませんが、「治安全体を揺るがすほどの危険性」と結びつけるのは適切ではありません。

さらに、日本人と外国人を年齢層ごとに比較すると、働き盛り世代における犯罪率は大きな差がないという分析もあります。つまり、外国人だからといって特別に犯罪を犯しやすいわけではなく、人口構成や社会的背景が影響する割合の方が大きいのです。

技能実習生報道の偏り

外国人をめぐる報道の中でも、特に技能実習生に関しては偏ったイメージが広まりやすい傾向があります。ニュースでは失踪、ハラスメント被害、過酷な労働環境などが繰り返し報じられ、制度全体に問題があるような印象を与えます。

しかし、調査によると、多くの技能実習生は日本での生活や職場環境に満足しており、帰国後も学んだ技能が役立っていると感じています。現場では地域住民や同僚と良好な関係を築き、安定して働いている事例が数多くあります。

もちろん、違法な長時間労働や賃金未払い、ハラスメントなど深刻な問題は依然として存在します。制度の改善や監督体制の強化は必要不可欠です。しかし、報道で目にする一部の事例だけをもって、技能実習生全体を否定することは現実を正確に反映していません。偏った報道は、真面目に働く多くの実習生に対する偏見を助長し、社会的な壁を高くする原因となります。

偏見をなくすために必要なこと

外国人と治安に関する議論では、事実よりも感情や印象が先行してしまうことが少なくありません。ですが、冷静に統計や現場の声を見れば、外国人の増加が必ずしも治安の悪化を意味しないことは明らかです。重要なのは、断片的な情報ではなく、全体像を踏まえた上で判断することです。

報道の受け手も、ニュースの一面だけで結論を出さず、背景や傾向を意識して情報を受け取る必要があります。また、報道機関にも、事件の重大性だけでなく、その背景や全体の統計的文脈を示す責任があります。

外国人は労働力や地域活性化、文化交流など、多くの面で日本社会に貢献しています。少子高齢化が進む中で、その存在は今後さらに重要になるでしょう。だからこそ、先入観を取り払い、事実に基づいた議論と制度設計が不可欠です。治安を守るためには、国籍ではなく、制度の運用や地域の受け入れ態勢、そして人と人との信頼関係が鍵となります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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