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外国人の住民税未納を全国調査 不動産・法人・医療にも広がるリスク

外国人住民税未納の全国調査が始まる背景

総務省は、2024年に日本を出国した外国人労働者などを対象に、個人住民税の徴収実態を全国の市区町村に調査する取り組みを開始しました。住民税は前年の所得に基づき翌年度に課税される仕組みであり、例えば2023年に得た所得に対する住民税は2024年6月以降に徴収されます。このため、技能実習や短期就労、契約期間が1年未満の就労形態などでは、課税時期と滞在期間が一致せず、納税されないまま帰国してしまうケースが多く発生しています。こうした未納は自治体にとっては税収の欠損であり、地域の公共サービスや財政運営にも影響します。今回の調査は2025年8月1日から9月1日まで実施され、2024年1月から12月までに出国した外国人の滞納件数や滞納総額を把握することが目的です。背景には、国会で「外国人労働者の納税漏れ」が指摘され、徴収漏れ防止と制度周知の必要性が強調された経緯があります。これまで全国一律での調査は行われておらず、正確な統計も存在しなかったため、今回が初めての本格的な実態調査となります。今後、この結果を踏まえて、出国前の一括納付や雇用主への協力要請、新たな保証制度の導入など、制度改正に直結する議論が進む可能性があります。

「今までが甘かった」のかという論点

この全国調査の開始は、裏を返せば従来の管理や徴収体制が十分ではなかったことの証左ともいえます。住民税は後払い方式であるため、在留資格の満了や契約終了で出国する外国人については未納リスクが制度上避けられませんでした。しかし、これまで国としては全国一律の事前徴収制度や強制的な回収措置を設けず、あくまで自治体の自主的な取組に委ねられてきました。一部の自治体では、出国前の一括納付を求めたり、監理団体や雇用主を通じて納付を促す取り組みがありましたが、こうした努力は地域によって差が大きく、全国的な統一ルールとはなっていませんでした。そのため、どの地域でどの程度の未納が発生しているのか、政府も正確に把握できない状況が続いていました。今回の調査は、こうした“甘さ”を補正し、課題を数値として可視化するための第一歩といえます。問題の全容が明らかになれば、徴収のタイミングや方法の見直し、雇用契約や在留管理との連動など、より実効性の高い制度設計につながることが期待されます。

不動産取得や外免切替と同じ「後から問題化する」構造

外国人住民税の未納問題は、外国人による不動産取得や外国免許切替の事例とも共通する「後から問題化する」構造を持っています。制度が導入された当初は、こうした利用や行動は想定されていなかった、あるいは件数が少なく社会的な関心も薄かったため、特別な規制や管理は設けられませんでした。しかし、利用者が増えるにつれ、制度の隙間や抜け穴が顕在化し、社会問題として取り上げられるようになります。不動産取得では、購入後に活用されず長期放置される空き家や、固定資産税の滞納、海外在住の所有者との連絡不能といった事例が各地で報告されています。これにより、地域景観の悪化や治安・防災上のリスクが高まり、行政が管理代執行や税徴収に苦慮する事態が生じています。外国免許切替(外免)では、提出された免許証の真偽確認の難しさ、取得国での運転経験の信頼性、取得後の重大事故と帰国による責任追及の困難さといった問題があります。これらの共通点は、制度設計時の想定不足、運用基準の地域差、事後的なチェック体制の脆弱さ、そして急増する利用者に対して制度改正が後手に回るという点です。今回の住民税未納調査も、こうした後追い型の対応の一環であり、実態を可視化して初めて制度改善の議論が具体化する段階に入ったといえます。

今後数年で問題化しやすい三つの領域

現時点では合法または規制が緩い範囲にあるものの、今後の利用拡大や滞納の蓄積によって社会問題化が予想される分野が三つあります。第一は、外国人による中古不動産投資と管理放棄です。円安やインバウンド需要の高まりを背景に、地方や郊外の安価な物件を海外投資家が購入するケースが増えています。しかし、購入後の活用や管理状況を確認する仕組みが弱く、計画していた民泊や賃貸運営が頓挫すると、空き家化して固定資産税が滞納される恐れがあります。放置物件が増えれば、地域環境や防犯・防災にも悪影響を与え、行政による管理や解体のコストが膨らみます。第二は、外国人による法人設立後の休眠・放置です。経営・管理ビザや特定活動の取得目的で法人を設立しても、事業が実態を伴わず登記だけが残る場合があります。これにより税務申告や社会保険手続きが放置され、最悪の場合は詐欺や口座売買といった犯罪に利用される可能性もあります。今後は、事業実態の定期報告義務や実態のない法人の自動解散制度の導入が検討されるでしょう。第三は、外国人による医療費・介護費の未払いです。医療滞在ビザだけでなく、観光ビザで長期治療を受ける事例も増えており、保険未加入や加入直後の高額利用が問題視されています。未払いのまま帰国されれば、医療機関や自治体がその負担を被り、財政に影響します。今後2〜4年以内には、大都市圏の病院や介護施設で未払い総額が統計的に明らかになり、入国時の保証金制度や事前保険加入の義務化、未払い履歴による再入国制限などの規制が検討される可能性が高いです。これら三領域は、外国人住民税の未納問題と同様に制度の想定外や運用の緩さが背景にあり、早期の制度整備が不可欠だといえます。

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