世界8位に躍進した日本の観光立国化
2024年、日本は過去最高となる約3,690万人の外国人観光客を迎え入れ、世界の観光客数ランキングで8位に入りました。2019年の3,288万人を大きく上回り、コロナ禍による落ち込みから完全に回復しただけでなく、新たな記録を打ち立てた形です。この急成長の背景には、円安による旅行コストの割安感、LCCを含む航空路線の復活、そして訪日旅行への根強い人気があります。特に韓国、台湾、中国本土、アメリカなどからの訪問者数が顕著に増え、首都圏や関西だけでなく、地方都市や離島にも観光の波が広がっています。
観光庁の発表によりますと、訪日外国人の旅行支出額は8.1兆円に達し、日本経済における観光産業の存在感は一段と高まりました。自動車に次ぐ輸出産業規模となったことは、日本の産業構造における大きな変化を象徴しています。
2023年から2024年への急回復
2023年の訪日外国人数は約2,507万人で、2019年比ではまだマイナスでしたが、それでもコロナ禍からの急速な回復が注目されました。そして2024年にはその数字が一気に3,690万人に跳ね上がり、伸び率は約47%に達しました。この背景には、水際対策の撤廃と航空便の回復に加え、SNSによる観光地の情報発信力向上があります。京都や東京、富士山といった定番スポットに加え、能登半島や四国の古い町並みなど、訪問先が多様化していることも特徴です。
また、2024年は世界全体で国際観光が完全復活した年とも言えます。フランスやスペインといった従来の観光大国が記録的な来訪者数を達成するなか、日本もトップ10入りを果たし、アジアではタイを上回る存在感を示しました。
観光立国としての課題と試練
急増する観光客は経済にとって追い風である一方、社会的課題も浮き彫りになっています。京都では観光客の過密化による交通混雑や生活道路の占有、住宅地での写真撮影マナー問題など、いわゆるオーバーツーリズムが深刻化しています。富士山五合目では入山規制や入場料の導入が進められ、鎌倉や大阪・道頓堀などでも地域ルールを守らない観光客への対応が課題となっています。
さらに、観光の地域偏在も大きな問題です。訪日客の多くは東京、京都、大阪といった限られた都市に集中しており、地方の観光資源はまだ十分に活用されていません。これを是正するには、地方への交通アクセス改善、多言語対応の整備、魅力的なコンテンツ発信が欠かせません。観光客数を増やすだけでなく、全国にその恩恵を分配する戦略が求められています。
免税制度廃止論と2030年に向けた展望
近年、一部では訪日外国人向けの免税制度を見直す、あるいは廃止すべきではないかという意見も出ています。免税は観光客の購買意欲を高め、日本国内での消費拡大に大きく貢献してきましたが、一方で不正利用や転売目的の大量購入などが問題視されるケースもあります。廃止すればこうした不正は減らせますが、同時に高額品やブランド品の購入意欲が低下し、経済効果が縮小する懸念もあります。つまり、免税廃止は観光収入と治安維持のバランスをどう取るかという課題を突きつけているのです。
政府は2030年までに年間6,000万人の訪日外国人を目指しています。そのためには、デジタル技術を活用した観光案内やキャッシュレス決済の普及、外国語人材の育成など、ソフト面での環境整備が重要です。
ただし、単純な数値目標の達成だけでは不十分で、持続可能な観光(サステナブルツーリズム)の視点が不可欠です。地域の暮らしと観光が調和し、訪れる人と迎える人の双方が満足できる仕組みをつくることが、日本が真の観光立国として評価され続けるための鍵になると考えられます。
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