技能実習生が日本で妊娠した場合、「実習は続けられるのか?」「帰国しなければならないのか?」といった疑問や不安を抱えることが少なくありません。
妊娠や出産は人権に関わる重要な問題であり、誤った対応は企業や監理団体にとって大きなリスクとなります。
この記事では、技能実習生が妊娠したときに取るべき適切な対応について、制度面・実務面の両面から解説します。
妊娠を理由に技能実習を中止させることはできない
妊娠・出産は技能実習の継続を否定する理由にはなりません。技能実習生にも当然、妊娠・出産の自由が認められています。
これを理由に帰国させたり、実習を打ち切ったりすることは不適切です。
実習の継続は可能だが、本人の意思を最優先
妊娠した技能実習生が希望すれば実習の継続は可能です。ただし、体調面や作業内容を考慮し、勤務時間や配置転換など柔軟な対応が求められます。
本人が継続を望まない場合、以下のような選択肢があります:
- 出産のために一時帰国し、その後再入国して実習を再開する
- 実習を中止して帰国する
- 在留資格変更により日本に滞在し出産・育児を行う
実習の一時中断・再開も可能
妊娠や出産の事情により、一時的に実習を中断することは可能です。条件を満たせば、実習計画の変更を経て再開することもできます。
出産後の在留資格変更も可能
出産により実習を中止した場合でも、ただちに帰国しなければならないわけではありません。
次のような事情がある場合は、在留資格の変更により滞在継続が認められる可能性があります:
- 出産直後で移動が難しい
- 育児のため短期間の滞在を希望する
- 医療機関のサポートが必要
利用できる社会保障制度(条件あり)
技能実習生が雇用保険・健康保険に加入している場合は、次のような制度を利用できる可能性があります:
- 出産育児一時金
- 出産手当金(勤務日数等の条件あり)
- 医療費の自己負担軽減
ただし、技能実習生の多くは非正規雇用であるため、加入条件に注意が必要です。
企業・監理団体の支援義務
受入企業や監理団体には、以下のような支援責任があります:
- 医療機関への同行や通訳手配
- 生活費や住居の相談支援
- 帰国や退職を強要しない
不適切な対応を行った場合、監理団体は業務停止等の処分を受ける可能性があります。
まとめ
技能実習生の妊娠・出産は、ご本人の意思と健康を尊重しながら、制度上も柔軟な対応が可能です。
企業や監理団体は、正しい制度理解と支援体制を整え、妊娠を理由とした不利益な取扱いをしないよう努めることが求められています。
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