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安全確保のための継続審査は共生を遠ざけるのか――外国人が直面する新しい課題

安全確保としての継続審査の意義

外国人の受け入れは国際交流や労働力確保に不可欠ですが、同時に治安や社会秩序の維持という課題を常に伴います。アメリカで導入された「継続的審査」は、こうした課題に応える新しい仕組みとして注目されています。ビザ取得時の一度きりの審査にとどまらず、滞在中も継続的に行動や生活状況を確認し、条件を守っているかを評価するものです。

犯罪や不法滞在のリスクは入国時点では見えにくく、滞在中に顕在化することが多いとされます。例えば、入国後に過激思想へ傾倒したり、生活困窮から不法行為に走るケースは過去にもありました。継続的な確認は、こうしたリスクを早期に発見するために有効です。また、入国後も監視が続くと分かれば滞在期限を守る意識が高まり、不法滞在防止にもつながります。国民にとっても「外国人の動向は常に確認されている」という安心感が広がり、社会全体の治安意識を高める効果があります。

このように、継続審査は治安維持と制度の信頼性確保に資するものであり、導入する意義は大きいといえます。

外国人に広がる安心と不安の二面性

一方で、この制度は外国人に複雑な感情をもたらします。安全を守るための仕組みと説明されても、「常に疑われている」という意識は消えません。結果として「守られている安心」と「信用されていない不安」が同時に存在するのです。外国人は常に見られていると感じ、心理的に萎縮してしまう傾向があります。

周囲の社会からも「監視対象の人」と見られる可能性があります。外国人が日常的に警察や行政から確認を受ける姿が広がれば、地域住民は「外国人は常にチェックが必要な存在」と意識するようになり、距離を置くようになるでしょう。これでは、外国人が社会に溶け込みにくくなります。

さらにSNSやインターネット上での活動まで審査対象になると、表現の自由が制約されていると感じる外国人も増えます。「誤解されるのではないか」と恐れて意見を控えれば、自己規制が習慣化し、声を失ってしまう危険があります。周囲から「黙っている=従順」と誤解されれば、社会的立場も弱まる悪循環につながります。

日常生活に忍び込む分断と偏見

継続審査は外国人の日常生活に直接的な影響を及ぼします。雇用の場面では「ビザが取り消されやすい人材はリスクがある」として採用を避けられるケースがあります。どれほど優秀でも、制度上の不安があるだけで不採用にされるのは実質的な差別といえます。

住居でも同様です。「監視されている外国人はトラブルを起こすかもしれない」との偏見から契約を断られることがあります。教育現場でも、子どもが「監視対象の家庭」と見なされ、孤立やいじめに直面する恐れがあります。家庭に問題がなくても、背景だけで偏見を受けるのは大きな不利益です。

さらに、実務においては「国籍フィルター」が働きやすいと指摘されています。表向きは平等でも、実際には安全保障上の理由などから特定の国出身者への確認が厳格化しやすいのです。結果として、出身国だけで疑われる構造が生まれ、差別の固定化につながります。

地域社会への影響も見逃せません。外国人が「監視対象」とされれば、自治会や学校行事に参加しにくくなります。結果として交流が減り、「外国人は地域に溶け込まない」との印象が広がります。偏見と孤立は相互に強化され、共生の基盤そのものを弱めてしまうのです。

共生社会を実現するために

課題を解決するには、まず制度の透明性が不可欠です。何が違反とされるのか、どのように判断されるのかを明確にすることで、不安や偏見を抑えられます。次に、公平性の実効性を高める必要があります。国籍や出身国によって扱いが変わるのではなく、行動や生活実態に基づいて評価する仕組みを徹底すべきです。

さらに、外国人の声を制度設計に反映させることが重要です。当事者の意見を取り入れれば不公平感を減らせ、制度への信頼も高まります。そして社会全体の姿勢も問われます。外国人を「リスク要因」ではなく「共に暮らす仲間」として認識することが不可欠です。

継続審査は治安維持のための合理的な手段でありながら、共生社会を遠ざける危険を内包しています。安全と共生をどう両立させるか。その問いに向き合うことこそ、日本社会に求められている課題です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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