訪日外国人は回復傾向、日本の観光収入を支える柱に
2024年から2025年にかけて、日本を訪れる外国人観光客数は急速に回復しています。観光庁の統計によると、2024年の訪日外国人数はコロナ禍前の2019年を上回る勢いを見せ、一部の月では過去最高を更新しました。円安による割安感が後押しとなり、アジア圏だけでなく欧米からの旅行者も増えています。特に消費単価の高い欧米豪からの訪日客は、日本の観光収入に大きく貢献しています。
宿泊・飲食・小売など観光関連産業は、このインバウンド需要の回復を追い風に業績を伸ばしており、地方都市や農村部でも外国人観光客の姿が目立つようになっています。また、ビザの免除や入国手続きの簡素化、国際線の増便など政策的な支援も進み、訪日需要は中長期的にも安定的な成長が見込まれています。
日本人の海外旅行は回復が遅れる現状
一方で、日本人の海外旅行、いわゆるアウトバウンドの回復は鈍い状況です。2024年の海外渡航者数は2019年比で7割を下回り、依然としてコロナ禍前の水準には届いていません。その背景には複数の要因があります。
まず、円安の影響により海外での滞在費が割高になっていることが挙げられます。航空券も燃料サーチャージや需要の偏りによって高止まりしており、家計にとって海外旅行は負担が大きい選択肢となっています。加えて、長期休暇を取りにくい職場環境や、コロナ禍で途切れた渡航習慣の影響も残っています。国内の観光資源が豊富なため、「わざわざ海外に行かなくても良い」という意識も強まり、国内旅行志向が続いています。
さらに、パスポートの保有率低下もアウトバウンド減少に拍車をかけています。外務省によると、2024年末時点での有効パスポート保有率は約17%台と、先進国の中で低い水準です。
他国との比較から見える日本の特徴
観光動向を国際的に比較すると、日本は「インバウンド増加・アウトバウンド減少」という珍しい状態にあります。欧州諸国やオーストラリア、韓国などでは、インバウンドとアウトバウンドが共に回復または増加傾向にあるケースが多く、双方向の交流が活発です。
例えばドイツは、世界でも有数のアウトバウンド市場を持ちつつ、外国人観光客の受け入れも盛んです。スペインはインバウンド大国でありながら、国民の海外旅行需要も高い水準を維持しています。これらの国では、休暇文化や航空ネットワーク、為替環境が双方向の旅行を支えています。
対して日本は、円安がインバウンドに有利に働く一方で、アウトバウンドにとっては不利となっています。この為替環境と国内の休暇制度の制約が、両方向のバランスを崩す要因となっています。
双方向の観光交流を目指して
日本の観光産業が持続的に発展するためには、インバウンドだけでなくアウトバウンドの活性化も欠かせません。国民が海外に出ることで国際感覚が養われ、ビジネスや文化交流の機会が広がります。また、海外での経験を持つ人が増えることで、訪日外国人への理解やサービスの質向上にもつながります。
今後は、LCCや格安ツアーの活用支援、若年層向けの海外渡航補助制度、長期休暇取得を促す働き方改革など、経済的・制度的なハードルを下げる取り組みが求められます。インバウンドの勢いを維持しつつ、アウトバウンドも同時に回復させることができれば、日本は国際的な観光交流の好循環モデルを築くことができます。
日本が世界と双方向につながる未来は決して遠くありません。経済、文化、人的交流のすべてが豊かに循環する日を目指し、その第一歩を今から踏み出すことが大切です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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