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双方向の観光交流を実現した国々――ドイツとスペインに学ぶ成功モデル

双方向の観光交流とは何か

観光交流には、外国から自国を訪れる「インバウンド」と、自国民が海外へ出かける「アウトバウンド」の二つの方向があります。どちらか一方に偏ると、経済や文化的交流の面でバランスを欠くことになり、観光産業全体の安定性が損なわれます。例えば、インバウンドだけが好調な場合でも、国際情勢の悪化や為替変動、感染症の流行などで外国人観光客が減少すれば、その影響は一気に表面化します。

逆に、アウトバウンドが盛んな国は、国民が海外で得た経験や人脈を国内に持ち帰り、ビジネスや学術、文化面での発展に寄与します。海外旅行で得た知識や価値観は、外国人観光客を受け入れる際のサービス向上にもつながります。

世界観光機関(UNWTO)の報告でも、「双方向の観光交流が活発な国は、観光収支だけでなく、国際的な信頼関係や文化理解の深化にも成功している」と指摘されています。つまり、インバウンドとアウトバウンドの双方が成長している状態こそ、観光立国としての理想形だと言えます。このモデルを実現している代表例が、ドイツとスペインです。

ドイツに見るバランスの取れた観光モデル

ドイツは世界有数のアウトバウンド大国であり、国民は年間延べ8,000万人以上の海外旅行を行っています。これは人口比で見ても非常に高い水準で、短期・長期の両方の海外旅行が活発です。一方で、インバウンド観光客数も年間3,000万人を超え、ヨーロッパ有数の観光受け入れ国でもあります。

観光収入はGDPの約4%を占め、観光支出もバランスよく分布しています。ベルリンやミュンヘンといった都市観光に加え、ロマンティック街道や黒い森、ライン川沿いのワイン産地など地方観光も根強い人気があります。さらに、見本市や国際会議などビジネス目的の渡航も多く、観光とビジネスの両輪で訪問者を獲得しています。

このバランスの背景には、整備された交通インフラと多様な観光資源があります。高速鉄道ICEは主要都市を結び、空港から都市中心部へのアクセスもスムーズです。こうした利便性が外国人観光客の移動を容易にすると同時に、ドイツ国民が海外へ出る際にも大きなメリットをもたらしています。また、政府や観光局はインバウンド・アウトバウンド双方に向けたマーケティングを行い、国際観光イベントへの参加や観光教育の推進にも力を入れています。こうして観光収支の安定と文化交流の活性化が同時に実現しています。

スペインの圧倒的なインバウンドと強いアウトバウンド

スペインはインバウンド観光客数で世界トップクラスの地位を誇り、2024年には約9,400万人の外国人観光客を受け入れました。地中海沿岸のビーチリゾート、バルセロナやマドリードの都市観光、サグラダ・ファミリアやアルハンブラ宮殿などの世界遺産が訪問理由の中心です。さらに、ガウディ建築やフラメンコ、サッカー観戦など文化的魅力も豊富で、季節を問わず観光需要があります。

観光産業はGDPの約12%を占め、国の重要な収入源となっています。インバウンドの規模が大きいだけでなく、スペイン人のアウトバウンド需要も高く、EU圏内旅行の自由化を背景に、フランス、イタリア、ドイツなど近隣国への短期旅行が盛んです。また、南米や北アフリカへの歴史的・文化的つながりを生かした渡航も活発です。

スペイン政府は観光を国の基幹産業と位置付け、観光客受け入れと同時に自国民の海外旅行促進にも力を入れています。若者向けの留学支援、海外ボランティアプログラム、国際スポーツイベントへの派遣などを通じて、国民が海外経験を積む機会を広げています。これにより、外国人がスペイン文化を体験するだけでなく、スペイン人自身も世界各地と関わり続ける双方向交流が定着しています。

日本が学べることと今後の展望

ドイツやスペインの事例から、日本が学べる点はいくつもあります。第一に、交通インフラの利便性と観光資源の多様化です。日本は新幹線や空港ネットワークが整っていますが、地方観光の情報発信やアクセス改善にはまだ課題があります。第二に、アウトバウンド促進のための制度的支援です。長期休暇の取得促進や旅行費用負担の軽減策、若年層向け海外体験プログラムの充実が必要です。第三に、観光教育の推進です。観光を産業としてだけでなく文化交流の基盤として位置づけ、学校教育や地域イベントで国際交流を促すことが効果的です。

現状の日本は、円安によってインバウンドは好調ですが、アウトバウンドは回復が遅れています。この非対称な状況を是正し、双方向の観光交流を実現するには、国民が海外に出やすくなる社会的環境づくりが不可欠です。

将来的には、地方空港の国際便拡充や、観光とビジネスを組み合わせた交流促進、地域ごとの海外連携プロジェクトなど、さまざまな施策を通じて双方向の人の流れを作り出せます。ドイツやスペインのように、国境を越えた往来が日常化すれば、日本の観光は経済的にも文化的にも持続可能な成長軌道に乗るでしょう。観光立国としての日本が、世界と対等に交流し合う未来は十分に実現可能です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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