パスポート大国、日本の意外な一面
日本のパスポートは、世界で最も渡航自由度が高いと評価されています。ビザなしで入国できる国や地域は190以上にのぼり、多くの外国人はその価値を羨ましく感じています。しかし、2024年末時点で日本人のパスポート保有率はわずか17％台にとどまり、先進国の中でも低い水準です。この数字を知った外国人は驚き、「こんなに行きやすいのに、なぜ行かないのか」と不思議に思います。
欧米やアジアの多くの国では、パスポートを持つことはほぼ生活必需品であり、長期休暇や週末旅行のために海外へ行くことは日常の一部です。それに対して、日本では海外旅行は特別なイベントと捉えられ、頻繁に出かける人は限られています。外国人から見ると、このギャップは日本文化の特徴の一つとして映ります。
休暇文化と職場環境の違い
外国人が最も驚くのは、日本人が長期休暇を取りにくい環境です。ヨーロッパでは夏に2〜3週間の休暇を取ることが一般的で、その間に家族や友人と海外旅行に行きます。韓国や台湾などアジアの国々でも、LCCを活用して近隣国へ週末旅行をする若者が多くいます。
一方、日本では有給休暇の取得率が低く、長期で休むことに対する職場の理解も十分ではありません。「長く休むと周囲に迷惑をかける」という意識が根強く、結果として海外旅行に行く時間を確保しづらくなっています。外国人からは、「せっかく世界最高クラスのパスポートを持っているのに、それを活用できる環境がないのはもったいない」という声が多く聞かれます。また、日本人は国内旅行を好む傾向もあり、温泉や観光地など国内の魅力を優先する姿勢も、外国人には新鮮に映ります。
海外旅行は「特別な行事」という感覚
外国人の多くは海外旅行を日常的なレジャーと捉えますが、日本人の多くは今も「特別な行事」として認識しています。旅行会社の関係者によると、日本人は旅行計画を立てる際に数か月かけて情報収集し、完璧なプランを練る傾向があります。
SNSでは、外国人が「日本人は旅行に行く前の準備がとても丁寧で驚く」と投稿する例もあります。語学や治安への不安、旅先で失敗したくないという思いが、慎重な計画につながっているのです。一方、外国人は「多少のトラブルも旅の一部」として受け入れる文化を持ち、思い立ったらすぐに出発する人も少なくありません。この感覚の違いが、海外旅行の頻度や距離感に影響していると考えられます。
外国人が期待する日本人の海外進出
外国人は、日本人がもっと海外に出ることで相互理解が深まり、日本と世界のつながりが強まると考えています。留学生や観光客の中には、「日本人と現地で会う機会が少なくて残念」と話す人もいます。特に若い世代が海外経験を積むことは、ビジネスや文化交流の面でも大きな価値があります。
さらに、日本のパスポートは多くの国でビザ不要という強みがあります。外国人からすれば、これほどの特権を活かさないのは非常にもったいないと感じられます。航空会社や旅行会社、自治体が協力し、海外旅行をより身近に感じられる企画を増やすことで、日本人の旅行習慣は変わる可能性があります。外国人の視点からは、日本人が海外に積極的に出ていくことが、日本と世界双方にとってプラスになると映っているのです。
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