ビザ更新費用は誰が負担するのか？
外国人が日本で働き続けるには、定期的に在留資格（ビザ）の更新手続きが必要です。このとき発生する申請費用や、行政書士などへの依頼料については、法律上「申請者本人が負担する」という建て付けになっています。
そのため、実務でも多くの場合、本人が更新費用を負担しているのが現状です。ただし、企業が費用を一部または全額負担するケースも増えており、実際の対応は企業ごとの考え方や体制によって異なっています。
企業負担が進む背景には「人材の定着」がある
企業による費用負担が進んでいる背景には、外国人材を安定して確保し、長く働いてもらいたいという意図があります。特に、語学や制度の違いに不安を抱える外国人にとって、ビザ手続きに伴う費用や申請の負担は大きな壁になりやすいものです。
そのため、更新費用を会社が負担したり、手続きをサポートしたりすることで、外国人が安心して働き続けられるよう配慮する企業が増えてきています。これは、離職防止や人材の定着につながる有効な施策としても注目されています。
就業ルールとしての明確化が信頼につながる
ビザ更新に関する費用の扱いが曖昧なままでは、誤解や不信感を招きかねません。費用負担があるかどうか、あるとすればどの範囲かといった点については、雇用契約書や就業規則にしっかり明記し、本人にも分かりやすく説明することが大切です。
また、いったん本人が費用を立て替え、領収書を提出して企業が補助するといった運用もあるため、手続き方法や精算ルールも事前に共有しておくと安心です。企業と外国人労働者が信頼関係を築くうえでも、こうした透明性のある対応は欠かせません。
今後は「生活全体を支える支援」へと進化する
今後は、ビザ更新費用の負担だけにとどまらず、住居の確保や渡航費、日本語学習、生活相談などを含めた包括的な支援体制を整える企業がさらに増えていくと見込まれます。実際に、外国人雇用を積極的に進める企業の中には、こうした支援を福利厚生の一環として組み込んでいる例も見られます。
このような取り組みは、外国人が安心して働き、生活できる基盤を整えるだけでなく、企業にとっても人材の確保・定着という点で大きなメリットがあります。多様な人材が力を発揮できる社会をつくるうえで、こうした企業の姿勢がこれからますます重要になっていくでしょう。
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