比較対象の日本人の選定方法
在留資格「特定技能」等では、外国人の報酬が日本人と同等以上の報酬であること、などと書かれていますが実際どうやって額面を決めるのでしょうか。いくつかの段階を分析してから具体的な待遇を考えていきましょう。
まずは、特定技能外国人が従事する予定の業務内容、職種、役職、必要な技能や資格、責任範囲を詳細に明確化します。これで賃金の枠がおおよそで定まります。
その次は、社内の比較対象者の選定です。(たとえば、精肉担当はどういう待遇なのかを知るのです。)社内に同じ職務内容の日本人社員がいる場合であれば、その社員の給与や手当、福利厚生などの労働条件を確認します。複数いる場合は、平均的な給与水準を算出します。
一方で社内に比較対象の社員がいない場合は、業界特有の給与水準や労働条件に関するデータを参照したり、あるいは同じ職種・地域での求人情報を調べ、一般的な給与水準を把握します。
続いて比較対象の日本人像を設定しましょう。同じ精肉担当でも経験年数や役職・技術が同レベルにあることを確認するのです。つまり同じ職務内容の日本人社員の中から、特定技能外国人の経験年数や資格に対応する日本人のモデルを探すということです。
これらを経て、最終的な報酬額を決定しましょう。集めたデータを基に、日本人が同じ条件で従事する場合の報酬額を算出し、特定技能外国人の報酬がこの金額と同等以上となるように設定します。当然、報酬以外の労働条件(勤務時間、休暇、福利厚生など)も日本人と同等であることを確認しましょう。
監査や行政からの問い合わせに対応できるように、対象の選定プロセスやデータ、決定した報酬額の根拠をしっかりと保存しておきましょう。外国人を安く雇ってはいけないのは、法的な違反を避けるためだけでなく、公平な労働市場を維持し、労働者の人権を尊重し、社会的な安定を確保するためです。また、多文化共生の促進にもつながるため、外国人労働者にも適正な賃金を支払うことが重要です。
コメント