外国人が日本に中長期滞在するために必要な手続きのひとつが「在留資格認定証明書(COE)」の取得です。
このCOEが交付されない限り、外国人は日本の在留資格を得て入国することができません。
では、COEの許可率は在留資格(いわゆるビザの種類)によって異なるのでしょうか?
この記事では、法務省の公開統計と行政書士としての実務経験をもとに、ビザごとの傾向と注意点を解説します。
📊 COE全体の許可率(法務省2023年データ)
🇯🇵 令和5年(2023年)の在留資格認定証明書交付申請件数は647,393件、うち許可件数は592,597件でした。 これは全体の約91.5%にあたります。
ただしこの数字は、申請内容が適切である場合を含んだ結果であり、提出書類に不備や制度理解の誤りがあると不許可になるリスクは十分にあります。 「許可率が高い=通りやすい」とは限らず、個別の在留資格の特性や申請内容の精度が極めて重要です。
🧭 在留資格(ビザ)別の傾向と実務上の注意点
法務省は「在留資格別の許可率」は公開していませんが、実務上の経験や審査傾向から、ビザの種類によって必要な書類や審査の厳しさには違いがあります。以下は主な3種の傾向です。
① 技術・人文知識・国際業務(技人国)
- 大学卒業以上が基本要件
- 学歴と職務内容の関連性が明確であれば許可されやすい
- 企業側の体制・報酬・処遇も重視される
② 特定技能
- 分野別に指定された技能試験+日本語能力が必要
- 企業が支援計画義務を負うため、制度理解の甘さが不許可に直結しやすい
- 技能実習からの移行は比較的スムーズだが、契約内容の整合性に注意
③ 経営・管理
- 500万円以上の資本金・事務所契約・事業計画など多くの立証資料が必要
- 実態のない会社設立は厳しく審査される
- スタートアップ支援制度がある自治体も(例:福岡市など)
❌ 不許可の主な原因
- 学歴や職務内容の不一致
- 雇用契約書の不備や処遇が不適切
- 企業の財務体制が不透明
- 過去の不法滞在・在留違反歴の影響
📌 COE申請の実務ポイント
申請が成功するかどうかは、「誰が」「どのように」申請書類を準備するかにかかっています。 行政書士など専門家と連携して以下を確認しましょう:
- 在留資格ごとの要件に沿った明確な職務説明と裏付資料
- 会社の体制・雇用実績・支援体制の整理
- 契約書・履歴書・経歴証明書の整合性と信頼性
✅ まとめ:数字に惑わされず、準備と根拠がすべて
COEは決して「簡単な申請」ではありません。 全体の許可率が9割以上でも、一件一件の審査は厳格かつ書類ベースで行われています。
在留資格ごとの特徴を理解し、事実に基づいたロジックで申請を行うことが、確実な許可につながります。
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