増え続ける外国人の不動産購入とその背景
ここ数年、日本各地で「外国人が土地や住宅を買っている」という話題が日常的に聞かれるようになりました。東京や大阪といった都市部だけでなく、京都・福岡・北海道・長野など、地方の観光地や空き家の多い地域にもその波は及んでいます。では、実際にどの国の人々が日本の不動産を購入しているのでしょうか。
もっとも目立つのは中国本土からの購入者です。彼らは都市部の高級マンションだけでなく、別荘地やリゾート物件にも積極的で、資産分散や長期的な値上がりを見越した投資目的が多いとされています。台湾・香港からはセカンドハウスや教育移住を目的としたファミリー層の購入が多く、福岡や京都など文化的魅力のある都市が好まれます。さらに、シンガポールの富裕層は安定資産として東京の不動産を購入し、ベトナム・フィリピンなどの実需層は、定住や家族の呼び寄せを目的に郊外のマンションや中古住宅を選ぶ傾向があります。
このように、日本の不動産は投資対象としても、生活の場としても外国人から注目されており、今後さらにその傾向は強まると見られています。
なぜ日本の不動産が「買われやすい」のか
外国人が日本で不動産を購入する際、手続きは日本人とほぼ同じで、特別な許可も必要ありません。これは国際的に見ると非常に緩やかな制度です。
カナダでは2023年から一部都市で外国人の不動産購入を一時禁止する措置が取られており、オーストラリアやニュージーランドでも外国人の中古物件購入には厳しい制限があります。シンガポールや香港では、外国人には高率の追加課税が行われており、実質的に抑制的です。
一方、日本では、登記も所有権取得も自由で、税制上の扱いも日本人と大差がありません。資金移動も比較的自由で、しかも価格は国際的に見て安価です。政治的安定やインフラの整備、治安の良さもあいまって、日本の不動産は「安全で割安な資産」として見られ、世界の投資家にとって非常に魅力的な市場となっているのです。
こうした中、「誰でも簡単に買える」という制度の“自由さ”が、地域社会との摩擦を生む一因になっている現実も見過ごせません。
地域社会が感じる戸惑いと制度の隙間
外国人が不動産を購入した後、その物件に居住する場合もあれば、民泊や投資目的で放置されるケースもあります。所有者が現地におらず、管理やルールの共有がされないまま、ゴミ出しや町内会費の支払い、騒音問題などが発生することも珍しくありません。
また、日本独自の「引っ越し時の挨拶」や地域清掃への参加など、生活のルールや慣習は海外とは異なるため、無意識のうちにトラブルの種になってしまうこともあります。結果として、地域住民の間に「また外国人が来た」「どうせ話が通じない」といった感情が芽生えてしまうリスクも高まります。
制度としては、外国人の不動産購入に関する制限や地域との調整ルールがほとんど存在しておらず、実務レベルでも不動産業者任せになっていることが多いのが現状です。住民の不安と不動産市場の自由度のあいだに、“制度の空白地帯”が生まれているのです。
行政書士が果たせる支援と橋渡しの役割
こうした課題に対して、行政書士が果たせる役割は決して小さくありません。たとえば、外国人が日本で不動産を購入する際に必要な契約書や確認書類の多言語化支援、購入目的の明確化、そして地域の生活ルールの説明書作成など、制度のグレーゾーンを埋めるような業務が求められています。
また、町内会や管理組合との間に入って、ゴミ出しや防災ルール、会費の説明などを整理し、購入者と地域社会の相互理解を促す「ソフトな合意書」の作成も有効です。行政書士は、法律に基づく手続きだけでなく、実務的・文化的な側面にも寄り添える専門職であり、言葉や制度の壁に困っている外国人にとって“頼れる通訳者”のような存在でもあります。
同時に、地域の声を行政や不動産業者に届ける橋渡し役としても機能できます。行政が対応できない「日常の困りごと」こそ、行政書士の知見と行動力が活きる場面です。
今後、外国人による不動産取得はさらに進むと予想される中で、「買える」ことと「暮らせる」ことのギャップを埋める支援が不可欠です。その第一線に立つのが、現場の声を理解し、制度と人をつなぐ行政書士の役割なのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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