──制度悪用への対策と本気の起業家に求められる視点とは
制度の目的を忘れた申請が増えている
経営管理ビザは本来、日本で事業を起こし、経済活動を行う外国人を支援するための制度です。ところが近年、制度を“在留資格の取得手段”としてのみ利用する動きが加速しています。
特に問題視されているのが、事業実態のないペーパーカンパニーによるビザ申請や、他人名義での会社設立、ブローカー主導の申請などです。形式的には500万円の出資と事務所契約さえあれば申請できることを逆手にとって、実際には事業を行う意思のない人たちが制度を利用しているケースが目立ちます。
こうした申請が積み重なることで、真剣に事業を始めたい人まで審査が厳しくなり、制度そのものの信頼性が揺らいでいます。
500万円要件の見直しと、その背景
2025年6月頃から、経営管理ビザの出資要件である「500万円」の基準について、見直しの動きが報じられるようになりました。政府内では、制度のあり方そのものを再検討する機運が高まっているとも言われています。
背景にあるのは、制度の乱用や形骸化への危機感です。海外富裕層による“ビザ取得のためだけの法人設立”や、ブローカーによる偽装申請などが、制度を深く傷つけてきました。特に特定の国からの大量申請に対しては、当局も警戒を強めています。
資本金要件の引き上げや、経営実績に応じた柔軟な審査基準の導入など、単なる金額の見直しにとどまらない、制度全体の再設計が意識されています。
審査は「形式」から「実質」へ
これまでの経営管理ビザは、「とりあえず500万円を用意して、会社を登記し、オフィス契約書を添付すれば申請が通る」といったイメージがありました。しかし現在では、こうした“形だけの申請”に対しては、極めて慎重な審査が行われています。
今後ますます重視されるのは、「経営の実体」です。事業が動いていることを示す売上・契約書・仕入・営業活動の証拠など、現実にビジネスが回っている証拠が求められます。また、本人が経営に関与しているか、資金の出所は明確か、社会的信用はあるか──といった部分も含めて、全体の信頼性が見られます。
つまり、500万円はあくまで“最低限のスタートライン”であり、それだけでは「経営者」として認めてもらうには不十分なのです。
これからの申請に必要な姿勢とは
制度が変わろうとしている今、求められているのは「誠実な準備」と「実態に基づいた申請」です。たとえ今は500万円で申請できたとしても、その先にある更新や永住申請まで見据えるなら、形だけの経営では必ず行き詰まります。
逆に言えば、本気で日本で起業したい人にとっては、制度が正されていくことはチャンスでもあります。今後は「書類が整っていれば誰でも通る」時代ではなく、「内容が伴っている人こそ選ばれる」制度へとシフトしていくはずです。
見せ金や名義貸しで通る時代は終わります。だからこそ、正しく準備し、根拠ある事業計画と誠実な意志をもって申請に臨むことが、これからの経営管理ビザ取得の鍵になるのです。
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