■ 外国人でも生活保護を受けられるのか
日本の生活保護制度は、本来「日本国民の最低限度の生活を保障する」ことを目的として設計されています。そのため、生活保護法の条文上では外国人は対象として明記されていません。
しかし現実には、長年日本に在住しており、社会的・経済的に困窮した状況にある外国人に対して、行政が「人道的な理由」に基づき、生活保護を準用する形で支給しているケースが数多くあります。これは、厚生労働省が自治体に対して出している通達などに基づき、実務的に運用されているものです。
つまり、法的には「外国人は生活保護の対象外」ですが、実際の運用では、日本人と同じように審査を受け、要件を満たせば支給される可能性があります。ただしこれはあくまで「例外的な取り扱い」であり、すべての外国人が対象となるわけではありません。
■ 対象となる在留資格とは
生活保護の準用対象となる外国人には、ある程度の在留資格と在留期間が求められます。基本的には、日本に長期的に住むことが想定される在留資格が必要です。以下のような在留資格を持つ方が対象となる傾向があります。
- 永住者(長年日本に住み、法的に無期限の在留を許可された人)
- 定住者(日系人やその配偶者、一定の事情を考慮された在留者)
- 日本人の配偶者等(日本人と結婚している人)
- 永住者の配偶者等
- 特別永住者(主に戦後の在日韓国・朝鮮人)
- 難民認定を受けた者、または人道的配慮による在留が認められた者
一方、「技能実習」「特定技能」「留学生」などの在留資格は、原則として一時的・限定的な滞在を前提とするため、生活保護の対象には含まれないのが通常です。こうした資格の外国人が生活に困窮した場合は、帰国を促されるか、支援団体などによる一時的な支援にとどまるケースが多く見られます。
■ 申請の流れと審査のポイント
生活保護を申請する場合は、まず居住地の市区町村にある「福祉事務所」へ出向き、相談・申請を行います。外国人であっても、日本人と同様に審査を受けることになります。以下のような審査項目が重要になります。
- 働く能力があるか(年齢・健康状態・就労経験など)
- 家族や親族からの扶養が可能かどうか
- 収入・資産状況(預金や持ち家、車などの有無)
- 現実に生活に困窮しているかの実態
生活保護は「本当に生活に困っている人」に限って支給されるため、審査は非常に厳格です。収入や資産が少しでもある場合や、働ける能力があると判断された場合は、まず就労を優先するよう指導されることがあります。
また、生活保護の申請にあたっては、日本語でのやり取りが必要になることが多いため、自治体によっては通訳の手配が可能です。可能であれば、行政書士や支援団体の同行を得ると安心です。
■ 行政書士ができる支援とは
生活保護の申請に関して、行政書士は以下のような支援を行うことができます。
- 在留資格の確認と適法性のアドバイス
- 申請に必要な書類の整理と作成補助
- 生活保護以外の公的制度(住宅支援・就労支援など)の情報提供
- 役所とのやり取りにおけるサポート(場合により同行)
- 支援団体との連携による多方面支援の橋渡し
特に外国人の方は、日本語の書類作成や制度の理解が難しい場合が多く、生活保護の申請をためらってしまうことがあります。行政書士は、そうした不安を少しでも和らげ、適切な支援につなぐ役割を果たすことができます。
■ 誤解と社会的議論の中で
「外国人が生活保護を受けているのは不公平だ」「税金の無駄遣いではないか」といった声が一部に存在するのは事実です。しかし、現実には外国人の生活保護受給者の割合は全体のごく一部に過ぎず、申請も容易ではありません。むしろ、審査基準の厳しさや社会的偏見により、必要な支援を受けられないケースも多くあります。
日本国憲法第25条は「すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めており、この理念は外国人に対しても人道的観点から適用されるべきである、というのが現在の行政運用の基本的な考え方です。
また、国際人権規約でも、居住国における最低限度の生活保障は人種や国籍を問わず保障されるべきとされており、日本もこれに批准しています。外国人に対する生活保護の準用は、こうした国際的な基準にも沿った運用といえるでしょう。
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