脱退一時金の制度概要と再入国時の影響
外国人の年金脱退一時金制度とは
日本で働く外国人労働者が帰国する際に年金保険料の一部が戻る「脱退一時金」制度は、短期間の就労者にも加入分の年金が返還される仕組みです。日本では、年金を受け取るための最低加入期間が10年ですが、それに満たない場合でも一定額を受け取れるようにされています。この制度の受給要件には、「日本国籍を持たないこと」「年金の受給資格を得ていないこと」「最終加入から2年以内の申請」などが含まれます。加入期間に応じて支給額が計算され、国民年金や厚生年金など、加入していた年金制度により具体的な計算方法が異なります。このように、脱退一時金は外国人労働者が支払った保険料を無駄にしないための配慮として位置づけられています。
制度改正による支給対象の拡充
2021年4月の制度改正では、支給対象となる加入期間の上限が5年に延長され、支給額もそれに応じて増加しました。これにより、長期間日本で働いてから帰国する外国人労働者にもより多くの一時金が支給されるようになり、加入期間の保障がより柔軟になっています。ただし、脱退一時金を受け取ると、その期間の年金加入記録がリセットされ、再度日本に入国して働く場合には新たに加入期間を積み上げなければなりません。日本と社会保障協定を結んでいる国の国籍を持つ人は、年金加入期間を通算して受給資格を得ることもできますが、脱退一時金の受給で通算対象期間が消えるため、将来の年金受給に不利になる可能性もあります。
再入国時の注意点と慎重な判断
将来日本で再び働く予定がある場合、脱退一時金の受給は慎重な判断が求められます。脱退一時金を受け取ると、その分の年金加入期間が無効となり、再入国後の年金受給資格に影響を与えるからです。特に、10年の受給資格期間を目指す場合、脱退一時金の受給により計算対象が減り、資格期間の達成が難しくなることもあります。また、社会保障協定を締結している国の国民は、通算加入期間が不利に働く可能性があるため、再度の就労予定や年金受給を検討中の外国人労働者は、脱退一時金を受け取る前にしっかりと情報を確認し、慎重に決定する必要があります。
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