企業が知るべき偽造カード対策の最前線
外国人を雇用する際、在留カードの確認は重要なステップです。しかし、近年では精巧な偽造カードが出回っており、目視だけでの確認が難しくなっています。例えば、2022年9月には千葉県旭市で偽造在留カードの製造拠点が摘発され、約200枚以上の偽造カードが押収されました。このような偽造カードは、他人になりすまして犯罪に利用されるケースも報告されています。例えば、虚偽の身分での不正就労や、詐欺や資金洗浄などの犯罪活動に悪用される可能性があります。このため、偽造カードを見逃さない対策は、企業にとっても社会全体にとっても重要です。
この問題に対処するため、法務省は「在留カード等読取アプリケーション」を提供しています。このアプリをスマートフォンにダウンロードし、在留カードをかざすと、ICチップ内の情報を読み取ることができます。これにより、カードの真偽を迅速に確認することが可能です。ICチップには在留資格や期間、氏名、住居地、顔写真など、券面と同じ情報が保存されており、さらにデータの改ざんを防ぐ電子署名も施されています。このアプリを使うことで、偽造カードのリスクを大幅に減らすことが可能です。
特に企業にとって重要なのは、在留カードが正規のものであるかどうかを見極めることです。アプリを使うことで、在留資格や就労制限の有無、資格外活動の許可状況などを正確に確認できます。ただし、アプリの利用には注意も必要です。まず、読み取りを行う際には必ず在留カード所持者の同意を得る必要があります。また、読み取った情報は適切に管理し、プライバシーを侵害しないよう注意を払うことが求められます。さらに、偽造が疑われる場合には速やかに出入国在留管理官署へ通報することが重要です。
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